2012年4月29日に東京・金町で行われた、群馬大教授・早川由紀夫氏の講演をまとめた記事です。備忘録とリンクの紹介を兼ねて掲載します。
「東日本大震災」カテゴリーアーカイブ
自主検査も国の基準で?
ちょうど1年
2011年(平成23年)3月11日14時46分、東日本大震災を引き起こした太平洋三陸沖を震源として発生したM9.0の地震(東北地方太平洋沖地震)が発生しました。あれから1年が経過しました。
備忘録も兼ねて、この1年を振り返ってみます。
昨年も書きましたが、 そのとき私は職場のオフィスフロアに居ました。会社に居た人たちは全員無事だったものの、電気は停電、電話もアウト、残る携帯電話も通話はおろかメールも 不自由な状態でした。家族との連絡は何度もリトライを重ねた結果なんとか済ますことができ、早引けとなった会社を出て自宅経由で子供を迎えに行きました。
幸いなことに、会社も自宅も被害は大きくなく(自宅では家具の倒壊はおろか、棚に入れていたものは全て無事)停電状態の自宅に戻り、当日帰宅できなくなった家人との連絡を済ませて子供を寝かせたら深夜(23:30頃と記憶)停電も復帰しました。
停電から復帰すると、テレビもネット環境も閲覧が可能になり、情報を収集していると津波が宮城~福島沿岸を襲い、その後は福島第一原子力発電所の事故につながったわけです。
3/15、週が明け、電車は動きませんでしたが、私は自転車を使って通勤を再開しました。この時期はなにせ被害は大きくないとはいえ、工場で生産の途中に全て止まった事態でしたから、とにかく復旧活動に明け暮れていました。
その後は計画停電も実施されました。電気がある生活のありがたさが身に染みたということはありませんでしたが、電気がなくなるとどうなるのかは身をもって知りました。
その頃からやはり心配というか関心事は福島第一原子力発電所の事故になっていきます。モニタリングを行っていて情報開示しているサイトを探して状況 を注視していました。事が壊滅的な状況になった場合、ここ横浜に到達するまでにも少々の時差はあるだろう、そのタイミングを逃さないようにしよう、と思っ たのです。ここ横浜では、3/15の早朝~昼頃、3/16の早朝~昼頃、3/21の昼頃~3/24中の3回有意な線量率上昇が見られます。3/15、3 /16の線量上昇はその後の収束が早く、これは主にI131によるもの、3/21からの線量上昇は主にI131、Cs134、Cs137によるものと推定 します。3/15、3/16については家人は電車が動かずに家の中に居たはずで、直接被曝していることはないと思われます。(私は通勤途中にしっかり食 らっているはずですが)一方、3/21ごろは今までどおりの生活に戻ってしまっていますし、3/21の線量上昇が概ね落ち着くのは5月の後半ごろとみて良 いでしょうから、被曝線量の積分値としてはこちらの影響の方が大きいはずです。
さ て、まる1年が経過してどうなったか、というと線量率自体は徐々に下がってきてはいます。ただし、事故前の状態には戻っていません。グラフを見ると解りま すが、2011/3/1~3/14までの間の線量率の平均はほぼ平成21年度の平均値である22nGy/hに近いのですが、2012/3/11現在では 26~27nGy/h程度。現在これの原因はCs134、Cs137によるものと考えてよいでしょうから、以前のレベルに戻るのにはあと数年を要すという ことになります。
ただ、いずれにしても空間線量上昇による被曝の影響については、(無視できるかどうかは別にして)当時の被曝線量について議論するよりは、地上に降 下した放射性物質による外部被曝と、食品等からの内部被曝を考えなければなりません。前者についてはどういう場所が汚染されているのかを知り、実行してい くほかありません。後者については、食品(特に米、野菜、肉、魚)の産地を選ぶことにしました。まず、農産物については、福島、群馬、栃木、埼玉、千葉、 東京、神奈川のものは買わない。海産物は東北~関東までの太平洋側のものは買わない。家族の現在の、また未来の健康を守るためにこの1年、それなりに情報 を集めて考えた結論がこれです。まあ、厳密には外食したりすると口にするチャンスは少なからずあるのですが、それは割合としては少ないであろうと。
福島県の農産物や畜産物の問題については、口論になったこともあります。曰く、「都会の人間が、高みの見物で偉そうに言うな。生産者は売れなくて 困っているんだ」と。もちろん、農業、畜産業で生活している方々の苦労は想像に難くありません。でも私は 買わない。以前にも書きましたが。これは断じて風評被害なんてものではありません。消費者の自衛手段です。残念ながらこれが理解できない生産者や販売者は ダメです。
最後に、今回の震災では何よりも、停電にしても、交通情報にしても、原発事故にしても、何につけても情報の入手に苦労しました。テレビやラジオはま ず役にたちません。一見最も有用そうに見えて、実は役立たず、というのがこの既存メディアでした。何かを判断しようと思ったときの判断基準になりえるデー タだったり見識というものが一切得られません。得られるように見えても、ネットなどで得た他の情報をつき合わせてみると矛盾が多い。何も知らない素人が正 義感に駆られたか、あるいは情報を制限するようなバイアスがかかっていたのかと思います。国や自治体の発表(会見やWeb)もこれまた当てになりません。 結局、自分で情報を集め、自分で判断するしかないのです。情報の中には知りたくないものも含まれます。現実を直視するということ自体、困難を伴う場合もあ ります。それでも、私は知りえる情報を集めて自分で判断したいのです。少なくとも、自分のことや自分の家族のことについては。
風が吹くとき
そういえば思い出しました。昔呼んだ本。「風が吹くとき」です。
ネタについては、下記リンク参照してください。
この本を読んで思ったこと。「無知は罪である」
この場合の「罪」は、自分自身や、家族をはじめ大切な人たちに対しての罪を指します。(他人にとってはかえって都合がいい場合もあるでしょうからね)
無知が悪いのか、「非常時の」マニュアルが悪いのか考えさせられますが、私は敢えて悪いのは「前者」という立場を取りたいです。
生き残るためには自分自身で判断しなければなりません。もちろん、その判断基準は自分自身で集め、妥当かどうかは自分で判断しなければなりません。
読んだことのない方へ・・・原作本は下記で買えます。
風が吹くとき [大型本]
レイモンド ブリッグズ (著), Raymond Briggs (原著), さくま ゆみこ (翻訳)
放射能汚染時代 「ベクレル・シーベルトになじみましょう」今中哲二さん
11月12日、神戸で開かれた市民集会「フクシマから考える暮らしの安全」(弁護士会主催)での今中哲二さん(京都大学原子炉実験所・助教)の講演。
我々が選択するための判断材料のひとつとしてご紹介します。
放射能汚染時代 「ベクレル・シーベルトになじみましょう」今中哲二さん
http://www.youtube.com/watch?v=IuwGXwPah-w&feature=related
*本記事は2012/11/9にサーバートラブルにより喪失した記事を復旧したものです*