Punto Vol.2 試乗記

(1998年11月21日 訂正)


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 やっと正規輸入が始まったPuntoです。早速試乗してきました。あくまでもちょい乗りですけど、私が思ったことを書きつづってみましょう。なお、今回はいわゆる「好き者」な人(私も含めて)の視点からではなく、カタギの人(爆笑)の視点から見てみました。



・これは私が試乗したPuntoです。

 横浜のG某なる店にて。ALFA155の奥に赤いやつの姿も・

  Punto Selecta

Picture Copyright Inagaki,Shiro





 現在、正規輸入されるているのは、5doorのSelectaとカブリオレのCablio Selectaの2種類です。どちらも1241cc、60psのエンジン、ミッションはECVTです。実は私、CVT初体験だったりします。ジゥジアーロのペンによるボディは、写真でみたよりもずっと立体感のあるデザインでした。

 *まずは乗り込んでみます*

 センスのいい色・柄のシートに座ってみると明るいグレーの大胆ながらセンスのいいデザインのインパネが広がります。ハイトアジャスタ付きのシートを調整すると私の座高をもってしても天井に頭が付かず、ポジションは良好です。シートは例によっていかにもFiatという「柔らかいんだけど、腰がある」絶妙のシートです。ライト、ウィンカ、ルームランプ、空調のスイッチ類は、妙に渋かったりぶらぶらだったりせず、はっきりとしたクリックがあって(!)日本車並のクオリティでちょっとびっくりです。
 ただ、大枠のデザインや部品の良さに反して、建てつけは・・・というともう一歩のところもあります。助手席エアバッグの取り付け部とか、トリムの合わせ目とかの隙間の処理はちょっとクオリティを低く見せるのが残念です。まぁ、イタ車好きにとってはどうでもいいことですし、Fiat自身、気にしていないんでしょう。ただ、今回のPunto Selectaって、「好き者」が買う車ではないと思うんですね。一般の、「ちょっと毛色の変わったモノ」が欲しい人(この「ちょっと」がミソです)にアピールしないといけないと思うんです。我が日本は、各部の建てつけに(異常に)配慮された車が周りに氾濫している国ですから、それらと比べちゃうとちょっとねぇ・という印象を与えるのはマイナスでしょう。インパネの色をもう少し暗いグレーにすれば結構印象が違うと思うんですがね。(隙間なんかが目立たなくなりますから)


 うちのTipoと記念写真。お尻ですみません


  Punto Selecta and my Tipo
Picture Copyright Inagaki,Shiro




 *走りましょうか*

 エンジンをかける・と思ったよりも静か。アイドリングでは、ホントにエンジン回っているんでしょうかって感じです。で、ちょっと固くて引っかかるシフトをDレンジに入れて走り出します。
重いスロットルを踏み、走り出す・とこれまたいかにもFiatのFF車!。ごろごろごろごろ・といううなりを上げながら加速していくといつのまにかビィーンと軽快に回るこの感じは、Pandaも、Cinqechento(現行)も、Unoも、Tipoも同じですね。進歩がないのか何なのか・(笑)いつのまにか笑みを浮かべながら走っている自分に、信号待ちで隣の車のドライバと目があって気づいてなんだか赤面状態になるこの感じ。Tipoを買ってすぐの頃に嬉しくて走り回っていたときと同じ気分が味わえて嬉しいもんです。自動車の作りとしては決して正しいとは断言できないフィーリングなんですけど、ハマってしまうとたまらないんです。(私だけかなぁ)
 CVTはというと、すでにいくつかの雑誌などの記事で紹介されているとおり、スロットルを踏んでいくと、まずは回転が上がっていき、続けて加速しながらなのになぜか回転が下がっていく感覚は独特ですが、これはあえて気にしなければ気にならないのではないかな、と思います。
 ステアリングは・軽い。軽すぎる。駐車場や路地なんかでの取り回しはいいでしょうけど、ステアリングからのインフォメーションは少な目なのが残念です。もう少し重めにしてでもしっかりとしたステアリング・フィールを確保して欲しいものです。


“Punto Sporting Abarth”の名前で輸入されている(1998~)3door版ですね。オーナになられた方、レポートをいただけませんか?(笑)



  Punto 3door.

Picture Copyright “Fiat’s official Web site”

http://www.fiat.com/





 Puntoは、私の予想通り、基本設計のしっかりした出来のいい車でした。でも、私には疑問に思うことがあります。それは、投入されたグレードについてです。
 Cablioはともかく、前述のようにSelectaの方は、「好き者」向けの車ではありません。それは解っていたはずです。右ハンドル/AT(ECVT)という構成からもそれはうかがえます。サミットモータースの崩壊以来、「隙間商品」しか扱ってこなかったFiat Autoにしては大英断だと思います。しかし、今回のSelectaって残念ながら非常に中途半端なグレードになってしまっていると思うんです。例えば、VW Poloは1.6Lのエンジン、4ATでカラード・バンパーを備え、見た目にもそこそこの高級感をもっていて179万円、Opel Vitaは最上級のスポーツでも166万円。対してPunto Selectaは188.5万円。バンパーは黒いまま(注・1997年9月頃から、バンパーはボディ同色になって、プント・セレクタ・コローレという名称で販売しているようです)だし、この値段なのにエンジンは1.2Lにすぎない・言っちゃ悪いがビンボ臭いのに高価いのです。これでは一般の人にアピールできないんではないかと。せめてこのグレードならば150~160万円で販売して欲しい、と思います(Pandaの値段を無視していますが・FF版で145~155万円)がどうでしょうかね。