内閣官房参与を辞任した東大・小佐古教授が報道向け説明会をキャンセルしたそうです。何でも、守秘義務をちらつかされたような感じで報道されております。
もちろん、何をあてにしていいのかわからない現在ですので、誰の言い分が正しいのかはよくわかりません。
ただ、原発推進派、(悪く言うと)政府の御用学者と言われていたような氏が「ヒューマニズムの点から納得できず辞任」とか「官邸から守秘義務を指摘されて説明会をキャンセル」という話を聞くと、政府側はやっぱり何か隠したいのではないかと見えるんですが。
ちなみに、政府は「学校での被ばく線量を20mSv/年以下」としていますが、
「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」に自ら違反していることになります。このことについて、公式に政府の見解は出ておりません。
だって、この法律からすると、
放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律による管理区域の設定基準(のひとつ)は1.3mSv/3ヶ月未満。(外部、内部の被曝を合わせて)つまり、0.6μSv/h。ちなみに、5/3現在で福島市の線量率が1.1μSv/h・・・
つまり、立派に放射線管理区域として扱う必要があるはずなのですが。
この法律で許容されている閾値は放射線障害防止関連法令の用語および単位の改正に伴う新旧の対比 表3 放射線業務に従事する者の線量限度から、女性の場合(妊娠を伴わない場合)5mSv/3ヶ月未満(すなわち、20mSv/年未満・妊娠と診断された女性の場合は、より厳しい)です。
子供は放射線管理区域に入る想定になっていないんでしょうね。(妊娠の可能性がない女性、という区分よりは厳しくすべきだと思うのですが)
現在の線量率からすると、空間の線量率だけで規準をオーバーします。(上記は、外部、内部の被曝を合わせての数字、かつ放射線に関する業務の「プロ」相手の法律なんですが)
政府は、この法律違反を無視して「安心です」としか言いません。こんなの信用できますか。
郡山では、学校が自主的に校庭等の表土を削り始めたとの報道がありました。
他の町でもそのような動きがあるようです。
また、政府の発表に対して、自治体へ電話での問い合わせも多いようです。
自分や家族の身を守るために客観的なデータや納得の行く見解・説明を集めることすら許されないのか。強い憤りを感じます。
東京新聞の記事は以下の通り。
「官邸圧力」 「あり得ぬ」 小佐古前参与 会見急きょ中止
2011年5月3日 東京新聞 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2011050302000035.html
学校での被ばく線量を年間二〇ミリシーベルト以下とした政府の対応を批判する形で内閣官房参与を辞任した小佐古敏荘東大大学院教授は二日、線量をめぐる見解を述べるはずだった自らの会見を急きょキャンセルした。首相官邸側が会見を中止するよう圧力をかけたとの見方もあるが、官邸側は全否定している。
小佐古教授と親交のある空本誠喜衆院議員(民主)はキャンセル理由について会見し、「小佐古教授は、官邸の事務方から『老婆心ながら、守秘義務がありますから』と言われ、来られなくなった」と説明した。また「小佐古教授のことが、報道各社に政局をからめて面白く書かれるのではないかと心配した」と述べた。
四月三十日付で小佐古教授が参与を辞任して以降、官邸側からは、火消し狙いとみられる発言がしきりに出ている。
枝野幸男官房長官は同日の会見で、「(政府の対応は)正義に反しているところはないと確信している。何か誤解があるのではないかと思っている」と述べた。五月一日の会見でも「小佐古教授は牛乳や飲料水の基準値では、逆に、より緩やかでいいと提言している。専門家の意見もいろいろある」と述べ、小佐古教授は必ずしも被ばく線量について厳格化論者ではないと強調した。
会見キャンセルの背景に官邸側から圧力的なものがあったとの指摘について、官邸筋は二日夕、「それはありえない」と全否定。
小佐古教授と面識のある細野豪志首相補佐官も同日の福島第一原発事故対策の統合本部会見で、「そのようなこと(圧力)はないと承知している。参与は公職なので一定の守秘義務はあるが、学問的見地からお考えになることには自由が認められている」と否定している。
おやおや、斑目氏にまでこんなことを言わせるというのは、政府が悪いのか、官僚が悪いのか。それとも、仲間割れですか。
以下引用)
放射線量:子供の「20ミリシーベルト」 判断経緯を公表
http://mainichi.jp/select/science/news/20110503k0000m040085000c.html
福島県内の幼稚園や学校などでの屋外活動を制限する放射線量が「年間20ミリシーベルト」を前提に「毎時3.8マイクロシーベルト」と決められた問題で、政府と東京電力の事故対策統合本部(本部長・菅直人首相)は2日、内閣府原子力安全委員会がこれを妥当と認めた経緯を文書で公表した。安全委は正式な委員会を開かず議事録もなかったため「透明性に欠ける」などと批判されたほか、小佐古敏荘・東京大教授が「(緩すぎて)容認できない」として、内閣官房参与を辞任している。
統合本部によると、4月9日に文部科学省から安全委に相談があり、数人の委員や専門委員、事務局を交えて4回会合を開いた。その結果▽被ばくの低減化を求める▽モニタリング(監視)の確実な実施--などを条件に「年間20ミリシーベルト」を容認する方向で事実上合意した。
政府は19日14時8分、正式に助言を要請。班目(まだらめ)春樹委員長ら4人の委員と事務局が、福島にいた委員1人に電話で了解を得たうえで約2時間後、助言を送ったという。班目委員長は「緊急なのでこうなったが、反省している。今後は議事録を残す」と、2日の会見で陳謝した。
一方、班目委員長は同日開かれた安全委で、屋外活動が制限されている7校で空間線量が基準を下回ったとの報告を文科省から受けた後「毎時3.8マイクロシーベルトを下回ったから学校を使わせると非常に安易な説明があっただけ。文科省として(土壌の線量を減らすなど)できるだけの対策を示すべきだ。福島の人が憤慨するのは当たり前だと思う」と、文科省の対応を批判した。【日野行介、関東晋慈、酒造唯】
毎日新聞 2011年5月2日 21時03分(最終更新 5月2日 22時55分)
事故から1ヶ月以上経ち、今更になってからSPEEDIのデータ公表が始まりました。
なぜか?との問いに首相補佐官が「パニックを恐れた」
ヨウ素剤の配布も行われませんでした。いわき市等、一部が自己判断で配布されたに過ぎません。
この責任は誰にあるのか。
事故は事故として、自己責任でどのような行動をとるべきかとの情報を与えなかったのは事実です。これこそ人災ではありませんか。