いったいどっちなの

原子力発電所を止めると電気代が上がるぞ、という計算をしたとの報道がありました。
詳細は以下の報道を見ていただくとして、原発撤退で家庭の電気代が2000円くらい増えるぞ、という話です。
日本の電気代は世界でもとても高額な部類に入ります。さらに、日本の原子力発電は、かかるコストの収支がとてもあいまいと言われています。
細かい計算はともかく、国策でなければとても進められないような事業であることは間違いなく、原子力発電の電気は安いなんてのはにわかに信じられないと思っている私から見ると、ただの脅しとしか見えません。

と思っていたら、反対に原子力発電から撤退しても経済影響なんかないという分析もあります。どったいなんだ。一体。


ただ、どちらの説にしても、最終的に計算の基になる数字があやふやなところがなんとも。異常な業界ですな。やはり。

読売の記事のソースは、日本学術会議のサイトから提言として見ることができますが、これまた肝心の数字は見えないんですね。これが。読売の記事は何を根拠に書いたんだろうか。

日本学術会議
http://www.scj.go.jp/
提言「日本の未来のエネルギー政策の選択に向けて―電力供給源に係る6つのシナリオ―」の本文
http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/shinsai/pdf/110624t.pdf

経済影響ありとの報道はこちら
*引用ここから*

原発撤退で電気代2121円増、維持なら372円増
読売新聞 7月3日(日)3時16分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110703-00000003-yom-bus_all

東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、原発存続の行方が注目される中、日本学術会議の分科会(委員長=北沢宏一・科学技術振興機構理事長)は、原発の撤退から現状維持・推進まで六つの政策の選択肢ごとに、標準家庭(1か月約6000円)の電気料金が、どれくらい増えるかの試算をまとめた。

原発を放棄し、太陽光などの再生可能エネルギーに移行した場合の負担は大きく、逆に維持すると負担は小さくなるが、同分科会は、今後、原発の安全規制が強化され、存続しても負担増になる可能性もあると指摘。秋にも最終報告をまとめる。

試算は、エネルギー政策の議論に役立てるのが狙い。政府や大学などが公表する発電コストのほか、温室効果ガス削減の国際的取り組み、15%の節電、人口減少、原発の安全対策などにかかる費用をもとに検討した。選択肢は、大きく分けて原発の「撤退」、全発電量の約30%を原子力が占める「現状の維持」、50%まで拡大する「推進」。撤退は、全原発停止の時期によって4ケースに分けた。

現在、稼働中の原発が定期検査を迎える来夏までに全原発が停止した場合は、火力発電に切り替えた後、温室効果ガスを減らす再生可能エネルギーの比率を高めていく。国際的な削減目標を達成するための対策が本格化する2030年には、標準家庭1か月の電気料金の上乗せは、2121円と算出した。

*引用ここまで*

経済影響なしとの報道はこちら
*引用ここから*

毎日新聞 7月3日(日)10時43分配信
<脱原発>50年の経済影響なし 東京大准教授試算
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110703-00000017-mai-bus_all

太陽光発電パネル=兵庫県淡路市で、登口修撮影
2050年に「脱原発」を実現した場合の国内の経済影響はほとんどないとの試算を、茂木源人(げんと)・東京大准教授(社会戦略工学)がまとめた。太陽光パネルをすべて国内で生産し、未利用の土地を活用することなどの条件が前提で、実現には政府の姿勢が鍵になりそうだ。

【詳しく知る】脱原発へ 自然エネルギー20年代早期に20%へ 菅首相、政策転換を“国際公約”

試算は電力会社の依頼を受け実施した。

現在、日本の電源は原発約3割、火力約6割、太陽光を含むその他が約1割。試算では、太陽光パネルの寿命は20年で、発電量は年率1%で劣化するとした。50年までの電力需要を考慮し、(1)原発を段階的に廃止し、その分を太陽光が代替する(2)原発はそのままで、太陽光が普及していく分、火力を減らす(3)原発はそのままで、太陽光は住宅への普及限度の1000万戸まで増え、その分の火力が減る--の3ケースで分析した。

その結果、50年の国内総生産(GDP)は、(1)536兆円(2)533兆7000億円(3)536兆1000億円で、ほぼ同レベルになった。

この理由を、(1)と(2)で太陽光パネル製造や設置費など40年間で162兆8000億円が投入され、製造工場などで雇用が生まれるためと説明している。

東日本大震災前の原発の平均発電量を得るには、1万平方キロの設置面積が必要だが、現存の耕作放棄地などを活用すれば可能という。

一方、電力料金については、20年代半ばに1キロワット時あたり0・6円上がるが、大量生産が実現する30年に元に戻ると分析した。

茂木准教授は「当初の太陽光発電のコストは他電源より高いが、国内ですべて生産すれば経済の足を引っ張ることはない」と話す。【藤野基文】

*引用ここまで*