農家の本音と思いたい

農家の本音と思いたいです。
ご紹介します。

ふくしま新発売。笑わせるな
農家の婿のブログ
http://ameblo.jp/noukanomuko/entry-10992569626.html

更新しないと言っておきながら
最近何かあるたびに更新
適当ですね
婿です

ふくしま新発売。

「。」の使い方が「モーニング娘。」を彷彿とさせます。

とまあそんな話は置いといて 見ましたよ「ふくしま新発売。」
http://www3.nhk.or.jp/news/tokusetsu2011/0817.html

すごく複雑な気分です。

やはり僕は福島の農家で、このサイトを見たとき 一義的には応援したくなりました。
頑張ってほしいと、買っちゃおうかなと それが最初に思った感想です。
でもやはり僕はこう言わせてもらいます。

クソ食らえだ、と

最近、僕がやっていることは本当に福島のためになるのか疑問に思ったりしてます。そろそろ、農家の側からは裏切り者扱いされるのではないかと怯えてますし
福島の復興を邪魔する気かと罵られるのではないかと恐怖してます。
農家の側からじゃなくても、「農家の婿もそんなに文句ばっか言うなよ」とか言われそうです。
そう言いたい人たちの気持ちもよくわかるから、なおのこと 正直なところ、本音を発信し続けるべきなのか、かなり悩んでいます

それでも僕はやっぱり福島県民で、
もう一度あそこで農業をやりたいと願う農民で そのために出来ることはすべてやろうと思いました。
また胸を張って作物を売れるように 僕は罵られようと蔑まれようと自分が正しいと思ったことを言おうと思います。
だから再度言わせてもらいます。

ふくしま新発売?

笑わせんな
順序が絶望的なまでに間違っている
最近ネットを見てるとよく見かけます。福島土人が! 加害者だ! 農家は自分だけ良ければいいんだ!
見るたび、悔しさに身を震わせています。やり場のない怒りでどうにかなりそうです。
ネットは良くも悪くも極端だから リアルではそんなふうには思われてないだろうと なんとか気持ちを落ち着けます。
そして こっちに来て取引先の人に

「福島? もうあんなとこ住めないんでしょ?」 (悪意無し)

と言われました。ショックでした

「こっちでは安心して野菜食べれるでしょ?」(本当に悪意無し)

と言われました。認識の違いに愕然としました

「産地偽装とかする人出てくるよね、農家もなんで作るのか理解に苦しむ」
と言われました 涙が出そうになりました。

被害者が加害者扱いされるこの理不尽 何があっても、僕は絶対に認めない
その言った人が悪いわけじゃないことは百も承知 むしろ当然とも言えるのかもです。
福島農民は加害者ではない と、説いたところで、頭で理解してもらったとしても根柢の感情では受け入れ難いんだと思います。
結局、その人の中でベットしなければならないのは 家族と自身の健康と安全だからです。この世で最も普遍的に重要な価値あるものだからです。
だから行政は現実を見てほしい

平時にはプールの水がこぼれただけで大騒ぎするようなものが ちょちょっと漏れたら即裁判になるような、そんな施設が爆発した
そして放射性物質が大量に降った これはどうやったって変えられない現実なんだ
これを何とかしないまま作物を作って 安全だ!安心だ! 誰が納得するんだ 誰が信用するんだ

基準値を下回ったから安全だ!

基準値下回ったから?じゃあその基準値の根拠はどうだ
僕の知ってる限り、今回の暫定基準値に関して政府が根拠にしたIAEAやICRPの緊急時の数値は
「原発事故等の緊急時にやむを得ず短期間なら摂取しても急には健康被害が出ないであろう数値」
だったはずだ だから、基準値を下回ったから安全だと言うのなら 基準値を下回ったから短期的には食べても安全だ と、きちんと言うべきだ

これを長期的に適用しようとするのなら 安全ではないですが、これでなんとか我慢してください と、きちんと言うべきだ

500bq以下だから安全です?

「セシウム検出されず」の文字を見たことあるか?
検査限界だなんだ言っても、つまりは今まではそういう数字だったってことだ
そして来年もこの暫定基準を使用しようとしている行政・JAの方々「暫定」という単語を3万回辞書で引いてクソして寝ろ
風評被害風評被害ってw
我らが福島県知事様は、単なる馬鹿か犯罪者かどちらかだ
社会人だったら誰でも知っている 商売で一番大事なのは信用だ

今福島産が忌避されるのにはちゃんと理由がある
福島産だってセシウム「検出されず」 な商品がちゃんとあることくらいみんな知ってる。
その数が少なくないことくらい僕だって知ってる。
農家が出来る範囲で少しでも土を綺麗にしようと努力して、汗水たらして一生懸命作って その結果、胸を張って売れるものがいっぱいあることだって知ってる。

ふくしま新発売。だってそういうものを売っていこうとしてることくらい頭のよくない僕にでもわかる
でも問題はそういうことじゃないんだ

危険だから買ってもらえないんじゃない
安全だったら買ってもらえるわけじゃない

僕たちに信用がないんだ 福島県民が不誠実だと思われているんだ
今さら危険厨だ安全厨だと対立したってしょうがない 現に買う側も作る側も不安なんだ
だったら不安を払しょくする努力をしなければならない じゃあその方法はなんだ
少なくとも暫定基準値以下だから安全だと声高らかに宣言することではない
僕も含め世間はその「暫定基準」自体を疑っているんだ

来てもらって食べてもらったらわかってもらえる?

根拠がわからない

品質には自信を持っている?

自信で放射性物質が消えるなら苦労しない

農家にとって土が汚染されたということは たとえば建物だったら基礎がやられてしまったということだ
基礎がやられた建物を再建し信用を取り戻すためには何をする?
安全で安心だと人を入れて世間にアピールするのか?
絶対に違う。

まず基礎を直すことだ。そしてその後に再建を宣言するべきだ。それを汚染土壌に置き換えてみればいい

除染することだ
除染で全部を取り除くのは無理だろうけど それでも必死こいて除染して、検査して公表して これを繰り返せば 0は無理かもだけど、きっと平時の基準値以下のものが作れるようになる
それこそ危険厨クソワロタと胸を張って言えるようになる

福島県の状況は、例えば・・・美味しいと評判のお弁当屋さんに、生ゴミ運搬車が突っ込んできて厨房に生ゴミが撒き散らされた状態だ
そして今、ふくしま新発売。がやっていることは たまたま生ゴミで汚れなかった調理台を使って弁当を作っている。それを売ろうとしている。
そういうことだ
お客さんはこう聞くだろう

「この前、生ゴミがぶちまけられたけど片づけた? 大丈夫?」

そしてお弁当屋さんがこう答えるわけだ

「片付けてないけど、汚れてない台を使ってるんで大丈夫です」

売る側は知ってる
きちんと汚れてない調理台でお弁当を作ったことを
だけど買う側はこう思う

「お前馬鹿じゃねえの?」

もう一度言わせて欲しい
やるべき順序が絶望的なまでに間違っている
日本人はそんなに薄情じゃない
必死に除染してる間はきっと支援してくれる 苦しみを分かち合おうとしてくれる。
それを大変だからとか、おかねがかかるからとかいう理由で ろくに除染をしようともせずに、安心だ安全だ、買わないのは風評被害だ そんなふうに消費者のせいにするからどうしようもないことになる

世間は冷たいわけじゃない。
僕たちを見捨てはじめたわけじゃない
彼らは不誠実な僕らに愛想を尽かしはじめただけだ。
なぜそれがわからない

これは「信用」の話だ。「消費者心理」の話だ
極端な話をすると、科学的根拠とか、それに基づいた説明とか
そんなものはケツ拭く紙にもならない 消費者にヒステリックだと注意したところで何の意味もない 震災後、今までの対応が消費者の目には不誠実に映ったんだ。

仕事で帰れなかったけど お盆に帰ります。お土産何がいいっすか?と聞いた僕に義母はこう言った

「野菜買ってきて」

悲しいけど気持ちはよくわかる 県民にまで福島産は信用されていない
だから必死に除染して、その姿を見せて 誠実な対応をして 無くした信用を再度少しずつ重ねることが何よりの近道だ
というより、それしか道は無い

いいものが必ず売れるんだったら苦労しない 信用が価値をなさないんだったらブランドなんて概念が存在するわけがない
理不尽だろうが納得いかなかろうがそういうものなんだから仕方がない
特に食品系なんて、一回のズルであの雪印が潰れる世界なんだぞ
後出しじゃんけんを繰り返して乗り切れるような甘い世界じゃないんだ

この前だって汚染ワラを食べていない牛から基準値越えのセシウムが出たじゃないか
牛の生活を知っていたらそんなことは容易に想像できる。
過小評価して何とか出荷しようという目先の利益優先の行き当たりばったりな対応が 消費者に見透かされているんだ
もうとっくに具体的に動く時期に来ている まずは徹底的な調査をするべきだ
最低でも田畑一枚一か所 コスト的に無理とか、資源的に無理とかじゃない
やるしかないんだ

そして要除染区域と除染不要区域に分ける
基準値とその根拠と、その各区域の数値は徹底的に公表すべきだ
要除染区域は、とにかく除染を徹底的に
そして基準値を下回ったら除染不要地域に回す

除染不要区域には作物を植えて 出来たものをまた徹底的に検査する。
そして信頼できる区域は安全区域宣言。継続検査が必要な区域は、検査継続区域に
安全宣言が出された区域の作物だけ出荷できるようにすればいい
まずは会津地方から、時間がたつにつれ安全区域は増えていく。
その時には堂々と宣言したらいい

「安心、安全で美味しい福島産」 と

現実を見てると夢物語かもしれない
新聞を見る限り今年のうちの補償は去年の売り上げから経費を引いた額の5割だ
被害者である個別の農家が、損害の一部を負担させられている それも所得の5割分も

南に数km行けば補償はゼロだ 来年は作らせる気満々だ。
多くの農家はこれに逆らえない。作るしかない。きっと来年は補償なんてない
売れなきゃ負担は農家に、責任は消費者に これが僕たちの現実だ
行政やJAが、消費者や農家にこれだけの負担を強いて 守られるものというのは一体何なんだ?
お偉いさんのポケットっていうのはそんなに大きくできてるのか?
福島はあんたらの金儲けの道具じゃないんだ

婿